第5回:淡雪のカシスレアチーズケーキ
青森の友人イトウが先日上京してきて2日ほど我が家に泊まった。 朝5時起きでやってきた彼女だが青森~東京間の移動疲れなどなんのその、昼には「銀座で銀ブラしてみたいから案内せよ」との指令を私に出した。 銀座をしばらくうろついて店をまわるたびに、イトウの両手は紙袋でいっぱいに。戦利品の極楽鳥みたいマフラーを「やっぱ銀座は違うよ~」と満足げな表情で見せてくれるので「青森でも売ってるんじゃない?」などとは間違っても言えず「そうだねえ」と返しておいた。 歩き疲れて「茶でもするか」と通り沿いの小洒落たカフェに入り、ケーキセットを注文する。私はベイクドチーズケーキ、イトウはレアチーズケーキ。2人とも乳製品に目がない。これまた繊細な細工の小洒落たお皿に品良くのったケーキ。「こんなの2口で食べ終わっちゃうねえ」なんて談笑しながら食べ始め、食べ終わって店を出る頃には今までニッコニコだったイトウの表情が何故か曇っていた。 「銀座のケーキなのに……これで1200円も取るなんて!」 そう、原因は高価な割にはイトウの口に合わなかったケーキであった。
「私お気に入りの青森のめっちゃ美味しいレアチーズケーキ、この前泊めてもらったお礼に送るね(^ω^)」 後日、イトウのメールとともに届いたのが、御菓子のみやきんの「オ・ラ・カシス(カシスのレアチーズケーキ)」だった。青森は林檎だけじゃなくカシスも有名らしい。青森の気候がカシス栽培に適しているのもあって、今では国内生産量の約9割が青森県産のカシスなのだそうだ。知らなかった!
箱を開けると真っ白なレアチーズの上に、これまた乳白色の刻みホワイトチョコがのった、まあるいケーキが顔を出した。フォークで大きめに切って、口にほうりこむ。ケーキの間にサンドされた爽やかな酸味のカシスピューレが、甘いホワイトチョコとしっとりとしたクリームチーズの風味に相まって、淡雪のようにふわりと口の中で溶けていく……。甘すぎずあとを引く絶妙のバランスで、一人で半分ぺろりとたいらげてしまった。
「こんなに美味しいレアチーズケーキなら毎日食べても飽きません。有り難う!」とイトウにお礼のメールを送ったらこんな返信が。 「美味しいものに場所は関係ないものだわねえ」イトウの銀座崇拝は終わったようだ。



締め切りに追われ多忙極まりない毎日。が、美味しいモノへの探求心はウルトラ級。






