高校生の頃、同じクラスに花恵ちゃんという女の子がいた。
その名のとおり花のように可憐で女の子らしくて「名は体を表す」とはこのことだなぁと感心したのを覚えている。そんな彼女は家庭科部に所属していて、放課後になると作ったお菓子を男子に振る舞っていた。私も家庭科部が料理を作る水曜日には腹ペコの汗まみれの男子に混じってマドレーヌやクッキーなどよくご馳走になったもんだ。
そんな行動もあり、さらに賢く見目麗しかった彼女はもちろん男子にモテた。そして女子には八方美人のブリッコと嫌われていた。
事件が起きたのは2月、バレンタイン当日のこと。
花恵ちゃんが本命の人に渡すため気合いを入れて家で作ってきたチェリータルトの箱がグシャグシャにされて教室の片隅に放られていた。敵の多い彼女のこと、きっと妬んだ女子の誰かの仕業に違いなかった。
「こりゃあどうしたもんか」と慌てふためく私と友人をよそに、涙ひとつこぼさず、ひしゃげた箱をそっと拾う花恵ちゃんの寂しそうな横顔は今でも忘れられない。
「見た目は崩れたけど中身は平気みたいだからここにいる3人で食べちゃわない?」
そういって笑う彼女はすごく大人っぽくて綺麗に見えた。 その後学校近くの公園のベンチに座り、コンビニで貰った割り箸で3人でつついたチェリータルトは甘くて、ちょっぴりお酒の味がして、ほろ苦いけど美味しかった。
「これが花恵ちゃんの恋の味だろうか!」
なんて当時の私は思ったかもしれない。
タルトの専門店エスキィスの「チェリーとカシスのタルト」は、こっくりとした濃厚なビターチョコと香ばしいアーモンドのタルト生地の上に大粒のチェリーがのった贅沢な一品だ。サクサクでどっしりとしたタルト生地と甘酸っぱいチェリーの間には自家製の芳醇なカシスジャムが挟まれていてこの酸味がまたチェリーの甘みとチョコ生地の味わいを深くしてくれる。
そしてこのタルトからほのかにするラム酒の香りに、10数年経った今でもあの花恵ちゃんの横顔を思い出してしまうのだ。
●チェリーとカシスのタルト/2400円(税・送料別)16cmバージョン
「パティスリー・エスキィス」
〒380-0821
長野県長野市上千歳町1141-5
TEL/026-228-3637
http://www.rakuten.ne.jp/gold/tart/
定休日/火曜、水曜
営業時間は要問い合わせ
※タルトは楽天サイトより注文、もしくはご来店にて注文販売となります。
エスキィスは、長野市にあるタルト専門店。バリエーション豊かなタルトは、どれもホッとするよな優しい味わい。種類も豊富で、旬の果実を使用したものや、チーズ、チョコレートといった定番フレーバーまで揃い、どれにするか迷ってしまうほど。ご紹介した「チェリーとカシスのタルト」は、ビターチョコ生地にカシスジャムがサンドされており、まさに大人スイーツ。

順造社長が素材にこだわり、自分の舌とセンスで味を確かめて、自然のままの味が楽しめる順造選。










